素材について-高級素材編"パナマ"-
こんにちは、SHIMADAです。
皆さんは高級な帽子というとどのようなものを思い浮かべますか？一般的なイメージで言うと、装飾が派手でシルクハットのようなシルエットの帽子を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。欧米の貴族の方がかぶっているような帽子ですね。それも間違いではありません。
高級といってもいろいろな価格帯の帽子があり、数万円から数百万円するものまで存在します。フェルト素材の帽子も、布からできている帽子も、麦素材でできている帽子の中にも高級なものがあります。その中でも一番高く、貴重と言われているのが「パナマハット」です。パナマハットは俗に言う、麦わら帽子をベースとしています。
麦わら帽子で数百万円？と思うかもしれませんが、その値段には確固とした理由があります。本日は、その部分を簡単にですがご紹介できたらと思います。
パナマハットとは
まずパナマハットとはどういうものかという点についてお話いたします。パナマハットとは、エクアドルでしか栽培されていないトキヤ草(パハ・トキージャ)というヤシ科の植物の葉を手で編んで作られる帽子です。
パナマという地名が帽子の名前についていますが、生産されているのはパナマ共和国ではなく、エクアドルです。というのも、1900年ごろにパナマ運河という太平洋とカリブ海を結ぶ運河をアメリカが建設しました。その建設現場では多くの労働者がこのパナマハットを日除け帽として着用していました。当時のアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトもこの運河建設現場に訪れた際にこのパナマハットを着用しており、それ以降パナマハットと呼ばれるようになったと言われています。
ここで、パナマハットとストローハット、カンカン帽の違いが分からないという方もいらっしゃると思いますので、補足程度にご説明させて頂きます。
カンカン帽は天井の部分が平らで角ばった形をしている麦わら素材で作られた帽子です。フランスが発祥の地と言われており、当時は水兵や船の漕ぎ手の為に作られていた帽子でした。糊でかなりの堅さに固められている為、天井を叩くと「カンカン」と音がするという事からカンカン帽と呼ばれるようになったと言われています。
ストローハットというのは日本語で言う麦わら帽子のことです。したがって、パナマハット・カンカン帽を総称するジャンルとしてストローハットがあると理解してもらえたら良いかと思います。
本題の高級パナマハットですが、今でもエクアドルの少数の職人が手編みで生産しています。
パナマハットの中でもグレード分けがされており、帽子の持つしなやかさと軽さが基準になっています。その２点を生み出すポイントとして、材料の細かさ、職人の編み方が大きく影響してきます。重要な２点ですが、現状、細かく裂いた材料を編める職人がもうかなり少なくなってきており、必然的に貴重性が高くなっているのです。
パナマのモンテクリスティという町はパナマハットの名産地として良く知られているのですが、この町にあるpile(ピレ)という村にシモン・エスピナルという世界に一人しか持っていないといっても過言ではない技術を持つ職人がいます。
このシモン・エスピナルが編むパナマハットは素材が細かく繊細で太陽の光が網目から漏れない程の密度があると言われています。それだけ密に編まれていると当然丈夫ですし、軽くシルクのようなしなやかさも持っています。
彼の技術を駆使したパナマハットは年に２~３個しか作ることが出来ず、その為値段も約３００万円という高額で取引されているのです。
高い帽子と言っても限度は１０万円ぐらいだとお考えだったのではないでしょうか。パナマハットもピンからキリまで値段が付きますが平均的には３~５万円ぐらいが妥当かと思います。
SHIMADAでもパナマハットの素材を所有しておりますのでご希望であれば製造することも可能でございます。パナマハットの質感に似せて製造されたペーパーパナマという素材もあるのですが、こちらだと価格をぐっと抑えることが出来ます。
詳しくは素材紹介のページで紹介しておりますので良ければ目を通してみてください。
今回は超高級帽子「パナマハット」をご紹介させて頂きましたが、麦わら素材のものが最高級と言われているのは意外だったのではないでしょうか。素材自体は植物ですからね。次回は冬素材の代表でもあるフェルト素材の高級帽子をご紹介したいと思います。
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