こんにちは、株式会社島田の寳田です。
今回は東京のS社様から秋冬物帽子のご依頼があり、ウール地を使用したマリンキャスケットをサンプルから作製させていただくになりました。
S社様は現在OEMの帽子作製でお取引中のお客様からご紹介いただきました。ありがとうございます。
それでは早速工場内での作製工程をご紹介いたします。
裁断:パターンを並べて生地をカット
表地にパターンを並べて必要となる面積分をカットしていきます。今回はサンプルのため、大まかにパターンを配置して必要な分だけをカットしていますが、大量生産時には効率よく生地を使うため、要尺という作業を行います。要尺に関してはブログで詳しくご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。
要尺計算について>
表地と芯地の接着:芯貼機で熱と圧力を加える
表地だけでは薄すぎて思うようにシルエットが出なかったり、型崩れが起こったりするため、今回使用する表地には芯地を貼り合わせます。先程カットしたパターンに合わせて芯地も同じ大きさに裁断します。
表地と芯地を重ねて芯貼機を使って接着していきます。芯地には熱を加えると貼り付く特徴があるので、奥のローラー部分に重ねた生地を流し入れ、熱と圧力を加えて綺麗に貼り合わせていきます。
バンドナイフで裁断:新聞紙を敷き滑りをスムーズに
新聞紙の上にカットした表地と厚紙でできたパターンを置き、裁断の作業に入っていきます。裁断で使用するバンドナイフの台が滑りにくいことがあるので、新聞紙等の紙の上に置き滑りやすくしています。
滑りが悪いとスムーズに裁断作業が進められなかったり、生地が引っかかりケガをする原因になったりすることがあります。特に雨の多い時期には湿気で滑りにくいことが多々あるので、慎重に裁断作業を行っていきます。
各パーツの裁断と縫製:綺麗な曲線を出す技術
頭の天井になる部分を裁断している様子です。こちらのパーツに関しては、ほぼ曲線でカットするため、遅すぎず早すぎず適度なスピードで一度も止まることなく裁断します。綺麗な曲線を出すには技術と経験が必要です。
全てのパーツの裁断が終わると縫製の作業に移っていきます。こちらは頭のサイド部分です。ドーナツ状になるように両脇を縫製します。
割アイロンで縫い代の処理
縫製した縫い代を割りアイロンで片側に倒していきます。縫い代が未処理だと生地を重ねた時にごわついたり、縫製するときにズレたりするため、縫い代は必ず処理します。
2mm感覚でカンセンを入れて固定
割りアイロンで倒した縫い代を表側の縫い目から2mmの間隔でカンセンを入れて固定していきます。この工程を行うことによって縫い代が綺麗に処理されます。頭のサイド部分が出来上がったので、次は天井の部分と縫い合わせていきます。
丸み・膨らみを持たせるため逆位置で縫製
通常とは逆で天井部分を下、サイド部分を上に置いて縫製していきます。頭部分の角に丸み・膨らみを持たせるためにこの位置で縫い合わせます。
頭部分のカンセン打ち:ごわつきが出ないように
頭部分が出来上がると、先程と同様に縫い代を割アイロンで片側に倒してカンセンを打ち固定していきます。頭部分には裏地を縫い合わせるので、ごわつきが出ないようにこの処理を行います。
素材違いの裏地の取り付け
裏地は素材違いで頭部分のパターンと同様に作り、縫い合わせていきます。
サイズ感を出すための土台パーツの縫製
裏地を取り付け終わると、腰と言われる頭部分の土台となるパーツを縫い合わせていきます。この腰には堅めの接着芯が貼られており、頭部分をしっかりと立たせサイズ感を出す役目があります。
ロックミシンで布端を丁寧に処理
ここまでくると頭部分はほぼ完成です。布端が切りっぱなしの状態になっており、ほつれが出やすく見た目もあまり美しくないので、ロックミシンで処理していきます。
ロックミシンについてはブログで詳しくご紹介していますので、よろしければご覧ください。
設備紹介-ミシンその2->
ポリ芯を入れてツバ部分を作製
頭は完成したのでツバ部分を作製していきます。まずツバのパターン2枚を重ねて縫製していきます。最後にツバ芯を入れるため、内側の曲線の辺だけは縫製せずに外側の長い曲線の辺だけを縫い合わせます。
入れるポリ芯に干渉しないように、縫い代を片側に倒すようにアイロンをかけていきます。
生地を裏返して、同じパターンに裁断されたポリ芯を入れます。
縫製していない内側の辺を閉じるように縫製し、ツバ部分が完成です。
中心がズレないようにツバと頭部分を腕ミシンで縫製
出来上がった頭とツバを腕ミシンを使って縫い合わせていきます。ツバのセンターと頭のセンターがズレないように注意しながら縫製します。
サイズ調節が可能なスベリの取り付け
いよいよ作業も終盤です。スベリという汗取り部分を取り付けていきます。今回のキャスケットにはサイズ調節ができるものをご希望されていたので、マジックテープでサイズ調節が可能なスベリを使用します。帽子のサイズに合わせてスベリの長さを調節し、輪状になるように一辺だけを縫製します。
スベリの縫い代が帽子の真後ろにくるように注意してスベリを取り付けます。
サイズ元から均等な幅でカンセンを入れる
スベリの浮きを抑えてかぶり心地に影響が出ないように、サイズ元にカンセンを入れていきます。サイズ元から均等な幅でステッチを入れないと目立ってしまうため、確実に作業を行います。
同素材の飾りを取り付け
最後にサイド部分から正面の腰部分に同素材でできた帯状の飾りを取り付けます。
ウール地を使用したオリジナルのマリンキャスケットが完成
温めた金型でシルエットを整えて完成です。
これまでは夏素材や夏用帽子のOEMのご依頼が中心でしたが、冬の帽子のご依頼も増えてきています。ウールやフェルトを使ったもの、パターンや帽体を使ったものなど様々な帽子に対応可能です。今回のようなキャスケット以外にもハットやブレードなどの各種の帽子作製もご相談ください。
東京や関東エリアからのご相談も増えてきております。OEM(設計)やODM(製品開発)のご依頼・ご相談は株式会社島田までお気軽にお問い合わせください。
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